ホテル・旅館などの宿泊業に派遣社員として就業するときに役立つ業界基礎知識
派遣スタッフとして、ホテルや旅館で活躍するためにはどのような知識やスキルが必要なのでしょうか。
今回は、ホテルや旅館で働く際に役に立つ基礎知識や資格について紹介します。
知っておきたいホテル・旅館の業界における定義
宿泊施設には、種別を決める定義があります。
ここでは、ホテルと旅館のそれぞれの定義について解説します。
■ホテルの定義
客室は洋室 |
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10部屋以上 |
客室の広さは9平方メートル以上 |
洋室浴室もしくはシャワー室の設置 |
出入口や窓は、施錠設備が必須 |
■旅館の定義
客室は和室 |
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5部屋以上 |
客室の広さは7平方メートル以上 |
定員2名以上 |
適した数のトイレと入浴設備を備えること |
以上のように、ホテルと旅館は定義づけされています。
また、旅館のような見た目のホテルや、旅館の定義であるにも関わらず『○○ホテル』という名称がついている宿泊施設もあります。
例外にように思えても、「ホテル営業」「旅館営業」のそれぞれの定義を満たしている業態で登録されています。
グレードごとで変わるホテルや旅館の客室単価と仕事内容について
■ホテルのグレード
○ラグジュアリー・ハイエンドホテル
客室単価が30,000円以上する高級ホテルがラグジュアリーホテル、ハイエンドホテルとされています。
○ミドルクラスホテル
客室単価が20,000円以上の老舗ホテルや、鉄道会社が運営するホテルがミドルクラスホテルとされています。
○エコノミーホテル
客室単価が10,000円程度で、全国展開しているホテルが多いのがエコノミーホテルです。
○バジェットホテル
客室単価が10,000円以下のホテルがバジェットホテルとされています。
また、日本においてはシティホテルやビジネスホテル、リゾートホテルなどとさらに細分化されています。
■ホテルの仕事について
ホテルのグレードによって、スタッフの仕事や職種の種類が異なります。
一般的な業務としてはフロントスタッフの仕事があります。
チェックインや会計など、案内業務や宿泊予約管理、外貨両替などを行う仕事です。
フロントスタッフは一般的にどのホテルにも在籍していますが、ホテルのグレードがアップするに従い、スタッフの数や職種も増えていきます。
例えば、ラグジュアリー・ハイエンドホテルにはコンシェルジュが常駐しているなどです。
ホテルのグレードによっては、スタッフがゲストの手を煩わせないため、幅広い範囲でサービスを提供する職種が存在します。
■旅館の種類
○温泉旅館
温泉地にあり、大浴場や貸し切り風呂などがあります。
○観光旅館
観光地にあり、管内には大浴場やカラオケ、卓球場などの遊戯施設を併設しているケースが多くあります。
バスツアーなどの団体客の利用が多いことも特徴です。
○料理旅館・割烹旅館
お料理のクオリティに力を入れている旅館です。
食にこだわりがあるお客様が訪れることが特徴といえます。
■旅館の仕事について
旅館では女将や支配人のもと、番頭や下足番などの仕事をはじめ、客室係や接客係と呼ばれる仲居や食事処の給仕係、清掃係などが活躍しています。
格式によって仕事内容が変わるため、派遣求人に応募する際に自分が希望する職種が募集されているのかを確認しましょう。
ホテルや旅館などの宿泊施設とMICE事業の関係
MICEとは会議や研修、企業の会議やセミナーを意味する『Meeting』、報奨旅行や招待旅行である『Incentive tour』、大会や学会、国際会議を示す『Convention』、展示会を意味する『Exhibition』またはイベントを意味する『Event』の頭文字をとった、ビジネストラベルの造語です。
MICEにおいて、ホテルや旅館は参加者の宿泊施設としてはもちろん、会場として使用されるケースもあります。
国内外から多くの参加者が集まるため、高い語学力やサービススキルが求められることを、理解しておきましょう。
宿泊業界に派遣社員として就業する際に強みになるスキル・資格
■語学力について
インバウンド観光が拡大傾向にあるため、中国や韓国、英語圏からのゲストに対応できる語学力は大きな強みとなるでしょう。
語学力の証明となるTOEICなどの資格を取得しておくことでスキルの証明になります。
■資格について
ゲストをおもてなしする事業である宿泊業界において、接客スキルも非常に重要視されています。
接客スキルを証明するものとして、さまざまな資格を取得するのもおすすめです。
〇サービス接遇検定
サービス業に携わるための心構えや対人心理理解、対応スキル、接客態度や振る舞いなどを審査し、おもてなしの心と基本的な形を習得するための検定です。
出題範囲は下記の通りです。
- サービススタッフの資質
- 専門知識
- 一般知識
- 対人技能
- 実務技能
以上から出題され、3級から1級まで段階を追って受験することができます。
○マナー・プロトコール検定
マナー・プロトコール検定とは、日本人として必須とされるマナーや、国際儀礼であるプロトコールに関する知識とスキルを認定する資格です。
3級から1級まで、4段階に分かれています。
宿泊業で派遣社員として仕事をするために、資格取得は必須ではありません。
しかし、サービスやマナー、プロトコールなど、行動や立ち居振る舞いだけでは分からないスキルを証明する資格は強みとなるでしょう。
ホテル・旅館で働く際に注意したい身だしなみ
■制服の着こなし
ホテルや旅館での勤務は、制服を着用するケースがほとんどです。
「制服さえ着ていればいい」と適当に着用すると、だらしのない印象を与えてしまうこともあります。
そのため、美しい着こなしをすることにより、お客様からの良い印象を得られます。
■髪形
髪型は、男性の場合は耳を出した短髪、女性はまとめ髪がおすすめです。
耳を出した髪形は、お客様の声にきちんと耳を傾ける姿勢を与える効果があるといわれています。
長髪や明るすぎる髪色は、お客様からマイナスの印象を持たれる可能性もあるため注意しましょう。
■爪
華美なネイルや付け爪をしていると、お客様からの印象が悪くなるだけではなく、爪でひっかいてケガをさせてしまう可能性があるため注意しましょう。
印象や清潔感をあげるため、短く切りそろえておく必要があります。
基礎知識をつけてからホテル業界で働くべき
派遣社員として、宿泊業で活躍をしたいと考えている方に必要な基礎知識について紹介しました。
派遣先で働く前に一度確認しておきましょう。